共同受注窓口みえの設立

障がいのある人が地域で自立した生活を送るためには、経済的な自立は不可欠であり、 工賃の引き上げに向けた仕事の確保が重要となりますが、個々の就労支援事業所での仕事の受注量に限界があることが大きな課題となっていました。ごのような状況のなか、厚生労働省は研究事業を踏まえ、都道府県における共同受注窓口組織を推進する方針を示しました。この流れを受けて、三重県において平成22年度から本格的に共同受注窓口組織の設置に向けた検討を始め、 平成23年9月に特定非営利活動法人「共同受注窓口みえ」が設立されました。

共同受注窓口みえの理念・目的

障がい者の地域における自立生活の実現をめざし、経済的自立を支えるため、障がい者の就労支援を行う関係団体、 施設・事業所等の主体的な参加の下、そこで働く利用者の工賃・賃金の底上げのための受注の拡大に向けた共同的 な取り組みを実施することを目的としました。

共同受注窓口設置に至る背景

厚生労働省は、障がい者が経済的に自立していくためには、障がい年金等とともに就労が可能な障がい者について一般企業への就労を広げていくことや、福祉施設で働く障がい者の工賃を引き上げていくことが重要としました。平成19 年度から各都道府県における「工賃倍増5か年計画」を策定し、事業所で働く障がい者の工賃水準を引き上げる取り組みを支援することになりました。

平成20 年度には全国社会福祉協議会に特別委員会が設置され、「工賃倍増に向けた授産事業振興調査研究事業」が行われ、『都道府県「共同受注窓口組織」の基本的骨格(案)』がとりまとめられました。その後、平成22 年度において、工賃倍増5か年計画支援事業におけるこれまでの取り組みによる実績を踏まえ、新たに複数の事業所が協働して受注や品質管理を行う「共同受注窓口」の整備に係る事業の予算化が図られました。この動きの中で、三重県は平成22 年10月、三重県障がい者工賃倍増計画推進「共同受注窓口整備」事業の実施を計画し、これを遂行できる事業者を選定するため企画提案コンペが実施されました。

そこで、三重県社会福祉協議会は障がい者関係団体と協議し、平成23 年度の設置にむけて、事業を受託して、法人格取得の準備を進めることになりました。

障害関係団体による共同窓口組織の検討

社会福祉協議会は、施設利用者の作業環境の改善、工賃の向上を図るため特定非営利活動法人の設立に向けて、三重県内の就労支援の中核となる下記障害関係団体

  • 社団法人三重県身体障害者福祉連合会
  • 財団法人三重県知的障害者育成会
  • 三重県知的障害者福祉協会
  • 全国精神障害者社会復帰施設協会三重支部
  • NPO法人三重県精神保健福祉会
  • きょうされん三重支部
  • 三重県障害者小規模福祉施設協議会
  • 三重県身体障害者福祉施設協議会
  • 三重県社会就労センター協議会

等で、連絡会を組織し、共同受注窓口組織の理念、目的の明確化の検討を行いました。

事業所の当時の現状と問題点

  1. 平均工賃は全国レベルに達していない
  2. 「働く施設」としては比較的重度の方を支援している
  3. 営業職員が配置されていない・工賃アップの意義又その意識が弱い
  4. 商品として生産管理・品質管理・販売力・技術力が充分でない

これらの問題を解決するには、各団体との連携・協働を一層図り、公平な第3者機関として積極的に問題を解決することを目的としました。